【フリーランスの確定申告】申告書で得する控除について税理士に聞く

フリーランス・個人事業主が毎年作成・提出する必要がある確定申告では、確定申告書に記入すべき内容、課税対象から差し引かれる控除の内容を記載しておかないと、源泉税の還付金が少なくなるだけでなく、翌年の住民税や健康保険料も不利になってしまいます。
源泉徴収や医療控除など、分かりにくいポイントを、前回に引き続き税理士の井ノ上陽一さんにQ&Aで伺いました。
効率的な節税になるように、しっかりポイントとなる項目の記入や決まりをチェックしましょう。

<前回の記事:【フリーランスの確定申告・保存版】Webデザイナーの経費はどこまで計上OK?

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確定申告書と所得控除についてのキホン

フリーランスまたは個人事業主と呼ばれる営業所得がある個人の場合、「確定申告書B」というフォーマットに申告内容をまとめます。この書類には、

  1. 営業所得(売上から経費を引いた額)やそのほかの所得
  2. 売上金を受け取る際に企業であらかじめ天引きされた源泉徴収の額(取引先情報、売上額、源泉額を記入)
  3. 課税所得から控除される特別な出費

を記載します。
おおまかに言えば、1から3を引いたのが課税所得額です。そして、課税所得の金額に応じて0〜45%の所得税が決まり、今年の所得税額がわかります(昔は手計算だったかもしれませんが、いまは国税局のサイトでフォーム入力することで、自動計算が可能です)。

この所得税と源泉徴収額の差額が還付金(もしくは追加徴収)となります。源泉徴収のほうが所得税より多ければ還付金がもらえ、逆ならば追加で税金を納めます。通常、企業からフリーランスへの支払いは源泉徴収が義務づけられているのでほとんどの場合は還付金が得られるでしょう。還付金をしっかり受け取るには、抜け漏れなく源泉徴収額を申告するとともに得られる控除を極力得ることです。

では具体的なQ&Aに移ります。

支払調書を送ってこない会社がある!

Q1. 源泉徴収税の申告、「支払調書」がない会社のものはどうすればいい?

源泉徴収税の一覧を作る際、「支払調書」がない会社はどうすればいいのでしょうか? 1月末までに昨年度の支払調書を送ってくれる会社がほとんどですが、たまに送られてこなかったり、頼んでも発行が遅く、確定申告に差し障る会社があります。支払調書がもらえない場合、その分の源泉を申告するのはあきらめないとならないでしょうか?

また、12月に請求書を出し、「売掛」計上した分の入金・源泉額をすでに2月までに確認しています。この分は、支払調書には記載されていない分も、源泉徴収を申告しても問題ないでしょうか?

A1. 個人事業主は、支払調書の提出義務はありません

企業が支払調書を税務署に出す義務はありますが、個人事業主(フリーランス)に支払調書を出す義務はありません。

しかし、これまでの慣習により出していることが多いのが現実です。

確定申告の際に添付する必要もありません(税務署や税理士によっては求めてくる場合もあります)。

支払調書は気にせず、自分の計算した金額で確定申告しましょう。1つの支払が100万円までは10%、100万円を超えた部分については20%が源泉されます。現在は復興税が加算されるため通常は10.21%引かれます。請求書と振込額を照らし合わせれば自分でも源泉額が確認できるはずです。

また、原則として、入金があったときに源泉徴収分を入力しますが、12月に発生して1月以降に入金がある場合は、12月に源泉徴収分を入力できます。

源泉徴収していない会社があるが、全額受け取って大丈夫?

Q2. 源泉徴収せず全額振り込んでいる会社がある。こちらではどう申告する?

源泉徴収額の確認をしていたところ、会社組織なのに、源泉徴収処理をしてくれていない会社あることがわかりました。個人事業主同士の売り買いの場合は源泉徴収をしないで処理してもよいと知っていますが、会社の場合は源泉が義務と聞きました。売上額を全額受け取ってしまっていることになりますが、税務署になにか突っ込みを受けることがあるでしょうか? また申告ではどう報告すればいいですか?

A2. 売上だけ申告し、源泉徴収欄は記入無しでよい

源泉徴収すべきところを源泉徴収していない場合、ペナルティがあるのは支払い側です。こちらは、全額を売上としていれば問題ありません。

収支内訳書には、売上の金額や売上先名を記載し、全額売上額を申告します。一方、源泉はされていないということなので、確定申告書の「源泉徴収されている収入の内訳入力」の欄(通常、支払調書の内容を転機する欄)には記載無しにします。

医療費控除はどこまで適用?自由診療やアレルギーテストは?

医療費控除はフリーランスに限らず、会社員でもよく利用する制度です。世帯年間で10万円を超える(総所得が200万円以下の場合はその5%を超える)医療費がかかった分について控除が受けられます。全額バックされるのではなく税率によって割り引かれる額は変わるので、所得税率が高い人のほうが金額は上がります。たとえば所得税率が10%の場合(195万円を超え330万円以下の所得の人が当てはまります)、20万円の医療費がかかると10万円が控除され、1万円が戻る計算です。また申告することで、住民税も安くなります

医療費は病院の受診費用だけでなく病院やリハビリへ通う交通費などいろいろなものが含まれます。合算して計上する手間がありますが、控除を受ける予定であれば普段からその記録を残しておき、きちんと整理しておきましょう。
2017年・平成29年度の申告分からは医療費の領収書の添付提出が不要になった反面、明細書の作成・提出が必要となりました。

また、「セルフメディケーション税制」が導入されたことで、指定医薬品を1万2000円以上購入している場合、8万8000円を上限に医療費控除が受けられるようになりました。病院には行かないがお薬を薬局で買ってすませるというタイプの人は利用メリットが高い制度です。

さて、概略を紹介したところで以下のQ&Aを見てみましょう。

Q3. 歯の治療は自由診療でも医療費に含まれるなら、アレルギーテストは?

医療控除についてなにを含めてよいのか気になります。皮膚科にて、自由診療でアレルギーテストを受けました。2万円かかりました。また、内科では自由診療で腸内フローラテストというのを受けました、これも2万円です。医療費として計上できそうでしょうか? 前者は、肌にかゆみがあり、医師にテストを勧められました。後者は、特に身体に不調はなく、かかりつけ医でチラシを見て興味を持ち、受診したものです。

A3. 医師に勧められて治療上必要であるなら対象となります

医師に勧められて治療上必要とされたなら、自由診療も医療費対象です。おそらく、アレルギーテストの結果をみて診療方針を決めるということであったのなら、医療費に含めて問題ありません。また、腸内フローラテストのほうは、興味がある程度だと、治療ではないので医療費になりません

税理士や会計事務所に依頼しないといけないのでしょうか?

Q4. 税理士や会計事務所に頼まず一人で申告書を書いています

税理士や会計事務所に頼まず一人で申告書を書いています。確定申告書類には、所属の青色申告会や税理士名、会計事務所名を記載する場所があります。あの欄に名前を書かないとなにか問題があるのでしょうか? 一人でネットで調べながら申告書を書いていると間違いがあるのかも、なにかペナルティがないかと不安です。

A4. ひとりで申告して問題ありません

青色申告会に所属していない、税理士に依頼していないからといって問題になるわけではなく、ペナルティはありません。単に記載欄があるだけです。

ただし、税務署からは、通常は税金が少ない場合にしか指摘されません。1人でやっていても一度プロに見てもらう価値はあります。

収入の山谷で税金が大きく増加することが心配

Q5. 会社員と違い売上の上下が激しいのですが対処法はありますか?

フリーランスでは、毎月同じ金額が入金される定期の仕事が多い人を除けば、売上が上がったり下がったりすることが多く、請求のタイミングによっては1年だけ飛び抜けて売上が上がってしまうこともあります。すると翌年の売上にかかわらず、税金もぐんと跳ね上がってしまいます。なにか売上額を平均的に調整するために工夫できることはあるのでしょうか。また、売上が急に上がりすぎると税務署が調査に来るという噂は本当でしょうか?

A5. 印税収入が増えた場合の対処法はある

印税や原稿料、作曲料の場合は、一定の要件(前年より多い、全体の20%以上など)を満たせば、変動所得として平均課税という方法を選ぶことができます。残念ながら、その他の売上についてはありません。

売上が急に上がった場合だけではなく、売上が急に減った場合、経費が急に増減した場合なども税務署が注目する可能性はあります。
もし、何か明確な理由があるなら、決算書の「本年中における特殊事情」欄に、その理由を入力しておきましょう。
税務署から不用に怪しく思われる可能性が減ります。

いかがでしたか? 仕事の内容に集中したい場合、税務処理も効率化が必要です。そのためにはポイントとなるキホンの知識を持つことも大事。ぜひ参考にしてください。

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